強がりなかぜくら弱虫なあたし

かぜくらの息抜き場

【小説】誰にも見えない3

ガヤガヤと騒がしいダンスホール

毎日毎日よく飽きない。

学校とパーティーの繰り返し。

 

今日もカーテンの後ろに身を隠す。

あの方と出会った時のように。

 

『今日もまた、退屈なパーティーですか?』

「!」

『こんばんは』

「あなたが来るのを待ってました」

『それは光栄だ』

「………」

今朝、父親が言っていたことを思い巡らせていた。

 

亡霊、あいつの仕業…

『どうされましたか?急に静かになって』

「………貴方のことを、、貴方のことを教えてください」

 

出会ってしまった。

こうして話してしまった。

貴方のこと

 

_________好きになってしまった_________

 

『いいでしょう』

私達は場所を移した。

騒がしいパーティー会場を後にした。

 

______________________________

「今朝のこと……あなたは、、なぜ私はあなたが見えるの??貴方のこと、教えて」

『旦那様に気づかれてしまったなら、話さねばならないね…いいよ』

.

.

.

僕は幽霊だ。

僕自身は数十年前に亡くなってしまった。

数十年前……貧しい家庭で育った僕は16歳になると直ぐに働きに出た。

僕がこの家に来た時、貴方のお母様はまだ生きていた。

そうだな…まるで貴女ののようだ。

 

「お母様……???」

 

綺麗な髪に色白の肌。大きな目に、華奢な体。

誰が見ても惹かれるほど魅力的な女性だった。

僕と同い年の彼女は、毎日続くパーティーに飽き飽きしていたよ。

カーテンの裏に隠れて退屈そうに街の光を眺める彼女と、しばしばお話したものだ。

きらびやかなパーティーに憧れた貧しい僕と、パーティーに飽き、退屈な毎日を嫌う、裕福な彼女。

正反対だったけど、彼女は違っていたんだ。

彼女は外の世界に出たがっていた。

本当は遠い地に行き、自分らしく生きていきたかった。

でも、できなかった。

 

『それを拒む人が彼女の周りにはたくさんいた』

「拒む人……」

『君の父親は、彼女の婚約者だった』

 

望まない結婚。

金と権力と、自由と娯楽。

安定を望んだ人々の圧力で、彼女は君の父親と結婚させられた。

 

『それからだよ、君のお母様が狂いはじめたのは』

「お母様が…」

『その日から彼女の自由は奪われた』

 

この豪邸は彼女のものだ。

君の父親は、母親の美貌をまるで宝石を見せびらかすかのように人々に自慢した。

そのために毎日毎日、パーティーを開き、快感に溺れた。

自慢だけのために彼女を扱い、自由を奪う。

 

「お父様がそんなことを……」

 

.

.

.

これは貴女に直接言えないことだが…

貴女ができたのも、無理矢理だった。

旦那様が食事の際、睡眠薬を飲み物に混ぜる姿を、僕はこの目で見てしまった。

直ぐに何をするのか分かった。

止めようと思った。

でも、思い込みだったら…間違いだったら…

16歳の貧しい家庭から出た召使いの僕が何を言ったって。

そう思った。

でもそれは、後悔の念に変わり、今でも僕を縛り付ける。

 

食事の終わりに眠ってしまった彼女を抱え込む旦那様。

部屋に連れていき、鍵をかける。

部屋の中で行われていることは、分かっていた。

救えない自分に苛立ち、悲しみが満ち、泣き声を抑えるため、自分の首を絞めることしかできなかった。

 

愛する彼女が、誰かのものになった。

その事実が、僕を、彼女を苦しめた。

そして、貴女が生まれた。

.

.

.

生まれた貴女は、旦那様の新しい宝石だった。

こんなのおかしい。

誰もが分かるはずのことが、誰も分からなかった。

この世界が狂ってることさえ、誰も気づけない。

 

貴女が生まれても、パーティーは続く。

貴女は次第に歩けるようになり、話しも少し出来るようになっていた。

毎日毎日続くパーティーにも、出席を余儀なくされた。

しかし、旦那様が酒に酔い始めたころに、彼女は貴女を抱いてあの頃みたいに、カーテンの後ろに身を隠すようになった。

そして、僕もあの頃のように、彼女と話す機会が増えて行った。

 

「話があるの」

彼女がそう切り出した。

『お嬢様…僕にできることなら』

 

 

「「もう、この生活を終えようと思う」」

 

 

『それって…』

「逃亡よ。この子を連れて」

『逃げるって……旦那様にバレたら』

「もう、いいの、あんな人……………貴方となら……貴方となら幸せになれると思うの!いや……一緒になるなら貴方とがよかった………一緒に暮らそう……どこか遠いところで!」

『落ち着いてください!』

「…っ!…ごめんなさい、取り乱しました…でも、私は本気よ」

『お嬢様…』

 

 

「貴女が好き…ずっと一緒にいたい」

 

 

あの頃の僕は若かった。

その一言で、心を決めてしまったのだから。

彼女と、貴女を守る。

どこか遠いところへ、彼女の自由を探しに行く。

彼女となら、なんでも出来ると思った。

 

 

あんな結末が待っているとは、もうすぐ18歳になろうというあの頃の僕には想像もできなかった。

 

 

つづく

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申し訳ない。

だいぶ放置した。

くそ。

 

この間にいろんなことがありました。

またおいおい報告しなければね。

 

次で完結させたい!!!!

 

まだまだつづく。